交流分析(TA:Transactional Analysis)は、1950年代半ばに、アメリカの精神科医エリック・バーン博士によって開発されました。精神分析を土台とし、人間性心理学を取り入れた、人の心と行動を快適にする心理学です。
交流分析の理論は、分かりやすく、活用しやすく、しかも効果的です。一つのパーソナリティ理論として円満なパーソナリティの獲得、個人が成長し変化するための体系的な心理療法です。また、コミュニケーション理論や生涯発達理論でもあり、その活用によって潜在能力の顕在化と望ましい自己実現にもつながります。
交流分析は「交流」を分析し、人が成長し変化することを目指しているので、人が交流するところではどの領域でも活用することができます。
当協会では、家庭や職場の人間関係改善、子育ち支援、青少年の健全育成、教育、傾聴ボランティア、キャリアカウンセリング、心理カウンセリング、メンタルヘルスケア、コーチング、リーダーシップ、職場の活性化、経営改善などで大変幅広く活用されています。
交流分析(TA)とは、人の心と行動を快適にする心理学です。
交流分析は次の7つのジャンルから構成されています。
- ストローク(ふれ合い)
ストロークは、なでる、さするなどの意味があります。交流分析では相手の存在を認める言動の全てをストロークと呼んでいます。「おはようございます」「こんにちは」という挨拶や、優しく微笑みかける肯定的なストロークもあれば、叱る、怒るなど否定的なストロークもあります。人が幸せを感じるのも、不幸せに感じるのも原点はストロークの出し方、受け取り方によります。 - 自我状態(心のなり立ち・エゴグラム)
人には三つの心(自我)があります。社会のルールを守ろうとしたり、相手を褒めたり労ったりする親の心(P)、状況判断をする成人の心(A)、自由にのびのびと振る舞ったり、相手に頼ったりする子どもの心(C)です。この三つの心を、グラフ(エゴグラム)で表すことで、自分の特性と改善の方法を知ることができます。 - やりとり分析(コミュニケーション)
自分に三つの心があると同じように、相手にも三つの心があります。私たちは、この三つの心を使って情報を伝えたり、相手を理解したりします。やりとり分析を理解することにより、その場にふさわしいやりとり(対話)ができるばかりでなく、相手の気持ちに沿った対応ができます。 - 人生の立場(自分や相手、世の中の見方)
「自分」および「他人」に対しての基本的な立場を人生の立場といいます。交流分析では、この基本的な立場が「幼児期における主に養育者とのふれあいの過程で形成される」と考え、自分自身を振り返り、「自分も相手もOK」という相互理解の関係を目指す機会とします。 - 心理ゲーム(いつものトラブルパターン)
あなたは「前にも同じような、こじれた不快なやりとりをした覚えがある」と思ったことはありませんか。もし、あるとすれば心理ゲームをしたことになります。人はストロークが不足すると、心理ゲームをすることで否定的なストロークであってもストロークの飢えを満たそうとします。心理ゲームの終わりには決まって不快な気持ちになります。気づいて手放すことで嫌な感情に浸ることを避けることができます。 - 時間の構造化(時間のすごし方)
交流分析では、「その人がストロークを求めるために、どのような時間の使い方をしているか」で、その人の生き方のパターン分析ができると考えます。それを変化させ、生きがいのある自分の時間の使い方を探求します。 - 人生脚本(自分で描いた人生のシナリオ)
人生脚本とは、人はそれぞれ、あたかも、脚本が用意されているかのような人生を歩むことから名づけられました。子どもは養育者とのふれあいや、環境によって好ましい脚本や、好ましくない脚本を大なり小なり受け取っています。そしてこの脚本が大人になった今も、あらゆる行動に大きな影響を与えています。それに気づいて手放し、本来の自分を取り戻します。